- オフィス賃料は上昇傾向が続いている
- 都心5区の中小規模オフィス(基準階100坪未満)の空室率は2.00〜2.37%の低水準(2026年7月時点・ボルテックス調べ)
- 30〜100坪の良い物件は即決市場になりつつある
- 待つほど選択肢が減るケースが増えている
はじめて移転を担当される場合は、オフィス移転全体の流れから確認すると進めやすくなります。
目次
オフィス賃料はなぜ上がっているのか?
オフィス移転を検討していて、
「去年見た時より高くなっていないか」
と感じる場面があるかもしれません。
結論から言うと、
オフィス賃料は上昇傾向です。
特に東京23区の30〜100坪では、その傾向を現場でも感じます。
ただし、
単純に貸主が強気になっているだけではありません。
背景には、
- 建築費の高騰
- 人件費の上昇
- 内装工事費の上昇
- 空室率の低下
- 出社回帰
があります。
この記事では、
実際に移転支援をしている立場から、今の市場で起きていることを解説します。
この記事でわかること
- オフィス賃料が上がっている理由
- 空室率2%台が意味すること
- 日本で事務所回帰が進む背景
- 良い物件がすぐ埋まる理由
- 上がっているのはどんなビルか——大規模ビルと中小規模ビルでデータの対象が違う
- 値上げ通知・更新・途中解約のどれに当たるかで、取れる行動がどう変わるか
- 今後の移転で注意したいポイント
- スケジュール管理が重要な理由
結論
- オフィス賃料はコスト増と需要増で上昇傾向
- 都心5区の中小規模オフィスの空室率2%台は「選び放題ではない市場」
- 良い物件は比較検討中に終了することがある
現在の市場は、
「探す市場」から「押さえる市場」へ変わりつつあります。
そのため、
移転成功の鍵は物件数ではなく、
スピードと意思決定です。
ただし、賃料が上がっているからといって、すぐ動くのが正しいとは限りません。値上げの通知が来たのか、契約の途中なのか、更新が近いのかで取れる行動が違います。分かれ道は「賃料が上がったとき、今の契約の状況で道が分かれる」の節に整理しました。
今の契約で残るか、移るかを、同じ坪数の募集条件と並べて比べられます。
現在の面積・賃料・契約の期限(更新日・解約予告の締切)をお知らせいただければ、候補物件と費用の見込みを並べてお出しします。残るか移るかの比較を相談する/お電話 03-6869-5265(平日 9:00〜18:00)
オフィス賃料が上がる3つの理由
結論:貸主だけの問題ではなくコスト増が大きい
現場で見ていても、
賃料上昇の背景にはビル運営コストの上昇があります。
建築・資材費の高騰
近年は、
- 建築資材価格の上昇
- 円安
- 物流コスト上昇
が続いています。
ビルの修繕や設備更新にも以前より費用がかかっています。
人件費の上昇
ビル運営には、
- 清掃
- 警備
- 設備管理
- 受付対応
など多くの人が関わります。
人件費上昇は共益費や賃料にも影響します。
内装工事費の上昇
移転時に驚かれるのがここです。
資材と人件費の上昇は、内装工事の見積もりにも表れています。
会議室や受付を作る工事の費用は、以前の感覚で予算を組むと足りないことがあります。見積もりは早めに取ってください。
結果として起きていること
貸主側もコスト増を抱えているため、
賃料へ反映されやすい状況になっています。

すでに貸主から値上げの通知が届いている場合は、オフィス賃料の値上げ通知は拒否できる?で、通知への最初の返し方と、残る場合・移る場合の比べ方を整理しています。
日本で事務所回帰が進んでいる理由
結論:出社を重視する企業が増えている
アメリカではリモートワークが定着した企業もあります。
一方で日本では、
出社回帰の流れがあります。
理由はシンプルです。
- 採用
- 教育
- マネジメント
- コミュニケーション
を重視する企業が多いからです。
特に30〜100坪クラスでは、
オフィスが単なる作業場所ではありません。
実際に、
- 採用強化
- 組織拡大
- 来客対応
を理由に移転する企業もあります。
オフィスをコストではなく、
投資として考える企業も少なくありません。
中小規模オフィスの空室率2%台の本当の意味
結論:条件に合う物件が常に選べる市場ではありません
2026年7月時点で、
東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の中小規模オフィス(基準階100坪未満のビル)の空室率は、区ごとに2.00〜2.37%です。
出典:株式会社ボルテックス「都心5区 中小規模オフィス市況レポート 2026年8月号」(PR TIMES、2026年8月20日公開)
実務感覚で言うと、
かなり低い水準です。
なお、オフィスの空室率は、調査会社によって対象となるビルの規模や集計方法が異なるため、ニュースなどで見かける「都心5区の空室率」と単純に比較することはできません。この記事では、当社が主に扱う30〜100坪に比較的近い、中小規模オフィスのデータを参考にしています。
この水準になると、
「物件がない」
というより、
「良い物件に先に申込が入る」
市場になります。
実際には、
募集が出ていても
- 商談中
- 申込予定
- 条件調整中
というケースもあります。
そのため、
空いているようで空いていない状態が発生します。

上がり方はビルによって違う
結論:ニュースの「オフィス賃料が上がった」は、大規模ビルの話であることが多い
「オフィス賃料」の数字は、調査会社ごとに対象のビルが違います。
- 大規模ビルの調査 — 基準階100坪以上のビルを対象にしたレポート。ニュースで引かれる「都心5区の平均賃料・空室率」はこちらが多い
- 中小規模ビルの調査 — 基準階100坪未満のビル(ボルテックス)、50坪以下の募集区画(アットホーム)など。30〜100坪の会社が実際に借りるのはこちら
同じ「上昇」でも、好立地・大規模・築浅のビルと、中小規模の既存ビルでは動き方が違います。自社が借りる規模のデータを見ないと、賃料が上がっているかどうかの判断がずれます。
この記事で空室率に使っているのは、中小規模(基準階100坪未満)のデータです。区別の募集賃料の水準や推移を見るときも、同じ規模の調査に当たってください。当社では、候補エリアと同じ規模の公開データを確認したうえで、実際の募集条件と並べてご案内しています。
なお、募集賃料(貸主が出している条件)と、成約した賃料は同じではありません。公開データの多くは募集賃料です。
現場で起きている物件争奪戦
結論:30〜100坪は特に動きが早い
実際の現場では、
次のようなことが起きることがあります。
- 内見の予約前に募集が終了する
- 内見の当日に他社の申込が入る
- 代表者の再内見の前に終了する
- 社内稟議の途中で終了する
当社の仲介実務でも、条件の良いオフィス物件では、募集開始から1日以内に申し込みが入ったケースもあります。数日以内に申し込みが入ったケースもあります。
特に人気なのは、
- 駅徒歩5分以内
- 築浅
- 男女別トイレ
- レイアウト効率が良い
- 30〜50坪
といった物件です。
最近増えているセットアップオフィスも人気です。
ただし、
募集が増えたからといって余っているわけではありません。
条件の良い区画は早期に終了するケースがあります。
※セットアップオフィスについては別記事で詳しく解説しています。

賃料だけで判断すると失敗することもある
結論:坪単価より総コストを見るべきです
賃料上昇の話になると、
少しでも安い物件を探そうとする企業があります。
ただし、
実際には総コストで比較することが大切です。
例えば、
| ケース | 結果 |
|---|---|
| 坪単価は安いがレイアウト効率が悪い | 必要坪数が増える |
| 会議室が作りにくい | 追加工事費が発生 |
| 駅から遠い | 採用面で不利になることもある |
| 天井が低い | 想定より圧迫感が出る |
結果として、
坪単価は安くても総額が高くなることがあります。
現場で見かける失敗です。
待つほど不利になる理由
結論:時間が味方になりにくい市場です
現在は、
| 項目 | 傾向 |
|---|---|
| 賃料 | 上昇傾向 |
| 空室率 | 低下傾向 |
| 工事費 | 上昇傾向 |
| 人気物件 | 競争激化 |
という状況です。
もちろん例外はあります。
ただ、
待つことで有利になるケースは多くありません。
むしろ、
- 良い物件が消える
- 賃料が上がる
- 選択肢が減る
ことが起きやすくなります。

賃料・空室率・工事費が上向いている局面では、待つことで予算条件が厳しくなる可能性もあるため、早めに検討を始める方が選択肢を持ちやすくなります。
よくある失敗例
物件不足ではなく判断遅れが原因
ケース①
まだ早いと思って動かない
↓
解約予告が近づく
↓
選択肢が減る
ケース②
比較しすぎる
↓
候補物件が埋まる
↓
振り出しに戻る
ケース③
社内稟議が長い
↓
申込タイミングを逃す
↓
条件の悪い物件しか残らない
ケース④
代表者再内見の日程待ち
↓
募集終了
良い物件を逃す理由は、
物件数ではなく意思決定の問題であることもあります。
FAQ
Q. 今後も賃料は上がりますか?
A.
将来の賃料は予測できません。確認できるのは、公開されている空室率と募集賃料の推移です。候補エリアで、自社が借りる規模(中小規模ビル)のデータを見て判断してください。
Q. 貸主から値上げの通知が来ました。どうすればよいですか?
A.
電話や口頭で了承せず、書面で「現時点では合意していない」「協議には応じる」と返したうえで、残る場合と移転する場合の総額を比べます。手順はオフィス賃料の値上げ通知は拒否できる?にまとめています。
Q. 空室率が低いと何が起きますか?
A.
良い物件ほど早く決まりやすくなります。
比較検討の時間を取りにくい市場になります。
Q. 解約予告前から探した方が良いですか?
A.
可能であれば早い方が有利です。
ただし実際には解約予告後から探し始める企業もありますが、
物件がない場合リスクになります。
Q. セットアップオフィスは安いですか?
A.
内装工事費を抑えられるケースがあります。
ただし賃料は一般オフィスより高い場合が多いです。
Q. 契約したらすぐ入居できますか?
A.
できません。
内装工事や各種手配が必要になるため、一定の準備期間が必要です。
Q. 社内稟議にはどれくらい時間がかかりますか?
A.
企業によって幅があります。決裁者の予定と社内の手順を、物件を見る前に確認しておくと短くできます。
人気物件ではその間に募集終了となることがあります。
Q. 1〜2年後の増員も考えるべきですか?
A.
採用強化を予定している企業は考慮した方が良いです。
現在の人数だけで決めると再移転になるケースがあります。
賃料が上がったとき、今の契約の状況で道が分かれる
結論:「上がっている」を読んだあとの行動は、今の契約がどの状態かで決まる
賃料が上がっている市況で取れる行動は、1つではありません。今の契約がどの状態かで、見るべき条項と記事が変わります。
| 今の状況 | 先に確認すること | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 貸主から値上げの通知が来た | まず契約の種類(普通借家か定期借家か)と、賃料改定の特約を確認する。定期借家で賃料改定の特約がある場合は、借地借家法第32条は適用されず、特約に従う(同法第38条)。普通借家なら、賃料の増減は第32条の問題で、協議が調わない間は、増額を正当とする裁判が確定するまで、借主が相当と認める額を払えば足りる(同条第2項。あとで不足分に年1割の利息が付くことがある)。通知への最初の返し方は、書面で「現時点では合意していない」「協議には応じる」と伝える | オフィス賃料の値上げ通知は拒否できる? |
| 契約期間の途中だが、移転したい | 中途解約の条項・予告期間・違約金・フリーレントの返還の4か所 | オフィスの中途解約と違約金 |
| 更新が近い | 更新日ではなく、解約予告の締切。そこから逆算して移転の可否を決める | オフィス移転で最初に確認すべきは「更新日」ではありません |
| まだ何も来ていない | 解約予告の期間と、移転にかかる期間を逆算し、動き出す時期を決める。重なる賃料の見方も先に押さえる | オフィス移転とは?流れ・費用・スケジュール、二重賃料とは? |
どの状況でも、先に決めるのは「残るか、移るか」ではなく、「いつまでに決めなければならないか」です。期限が分かれば、比べる時間をどれだけ取れるかが決まります。
残るか移るかを、今の契約書(予告期間・更新日・中途解約)と、同じ坪数の募集条件を並べて一緒に比べます。
今の契約を見ながら相談する(お問い合わせフォーム)
まとめ
オフィス賃料は、
建築費・人件費・内装工事費の上昇に加え、
空室率低下と事務所回帰によって上昇傾向が続いています。
特に30〜100坪では、
良い物件ほど比較検討中に終了するケースがあります。
今の市場では、
物件をたくさん見ることよりも、
意思決定できる状態を作ることが重要です。
移転成功の鍵は、
物件探しだけではありません。
解約予告、貸主審査、社内稟議、原状回復まで含めたスケジュール管理が結果を左右します。
あわせて読みたい:オフィス移転で100万円トクする会社・損する会社、コストカットしたい企業ほど決断は早い方が良い理由、オフィス賃料の値上げ通知は拒否できる
今の条件で本当に間に合うか確認したい方へ
現在の市場では、
物件探しそのものより、
- 解約予告はいつ出すべきか
- 今の坪数で足りるのか
- 会議室込みで何坪必要か
- 1〜2年後の増員に対応できるか
- スケジュールが現実的か
- 二重賃料をどこまで抑えられるか
- 値上げの通知に、どう返すか
を整理することが先になるケースもあります。
移転時期が決まっていなくても、
現状を整理することで判断しやすくなります。
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株式会社gram(グラム)
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