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OFFICE GUIDEオフィス移転ガイド

オフィスの中途解約と違約金|「残り全部」と書かれていたら?退去時期で総額を比べる方法

監修:林 正幸(株式会社gram 代表取締役/宅地建物取引士)

移転先の候補は見つかった。でも、今のオフィスは契約期間がまだ残っている。

このとき気になるのは「途中で出られるのか」「違約金はいくらか」です。ただ、実務で総額を動かすのは、それだけではありません。

解約予告を出す日、明け渡す日、移転先に入る日——この3つの日付の組み合わせで、払うお金の合計が変わります。

この記事では、中途解約でかかるお金と、退去時期の決め方を整理します。移転全体の流れはオフィス移転とは?流れ・費用・スケジュールにまとめました。

この記事で分かること

  • オフィスの中途解約とは何か、途中で出られるかは何で決まるか
  • 中途解約でかかるお金の種類
  • 退去時期をずらすと、総額がどう変わるか
  • 契約書で確認する順番と、退去時期の決め方
  • 違約金の4つの書き方と、「残りの期間の賃料全部」と書かれていたときの考え方
  • 定期借家のオフィスを途中で出るときの選択肢

結論

  • 途中で出られるかは、契約書の中途解約の条項で決まります。 期間を定めた契約で途中解約できるのは、契約で解約の権利を残している場合です。
  • かかるお金は、違約金だけではありません。 予告期間の賃料、フリーレント分の返還、原状回復、移転先との二重賃料が重なります。
  • 総額を決めるのは3つの日付です。 解約予告を出す日、明け渡す日、移転先の入居日の組み合わせで変わります。
  • 解約予告を出すのは、原則として移転先の契約後です。 そのうえで、移転先の入居日と明け渡し日を近づけるほど、重なる期間は短くなります。
  • 違約金の額は、契約書の書き方で決まります。 固定額か、残りの期間の全額か、経過年数で減るか、定めが無いか。どれに当たるかを先に確かめます。

契約書の中途解約・違約金・フリーレント・原状回復の4か所を見せていただければ、退去時期の候補と、移転先の入居日を並べた総額をお出しします。
中途解約の時期と総額を相談する/お電話 03-6869-5265(平日 9:00〜18:00)

目次

移転を決める前の5ステップ
総額を左右する3つの日付
  1. オフィスの中途解約とは
  2. 途中で出られるかは契約書で決まる
  3. 中途解約でかかるお金
  4. 定期借家のオフィスを途中で出るとき
  5. 退去時期で総額はどう変わるか
  6. 退去時期の決め方(5つの手順)
  7. 当社が一緒に整理できること
  8. FAQ
  9. まとめ

オフィスの中途解約とは

中途解約で確認する費用

中途解約とは、契約期間の途中で賃貸借契約を終わらせることです。 期間の満了を待たずに退去するので、契約書に定めた手順と費用に沿って進めます。

解約予告をいつ出すかは、オフィス移転の解約予告はいつ出す?の担当です。この記事では、期間の途中で出るときのお金と日程に絞ります。

途中で出られるかは契約書で決まる

期間を定めた賃貸借で途中解約ができるのは、契約で解約の権利を残している場合です(民法第618条)。オフィスの契約では、この権利を「中途解約」「期間内解約」といった条項で定めています。

条項があれば、そこに書かれた予告期間と手順に沿って解約する形です。条項がない場合は、貸主との合意で解約できるかを確認する必要があります。個別の契約については、弁護士に確認してください。

定期借家契約でも、契約書の条項しだいという点は変わりません。 借地借家法には定期借家の途中解約の規定がありますが、対象は居住用で床面積200㎡未満の建物に限られ、オフィスは対象外です(同法第38条第7項)。

中途解約でかかるお金

違約金とは、契約に反したときに払うと、あらかじめ決めておくお金です。 民法では、違約金は損害賠償の額の予定と推定されます(民法第420条第3項)。

中途解約でかかる可能性があるお金を並べると、次のとおりです。

お金 どんなときにかかるか 契約書で見る場所
予告期間の賃料 解約予告から明け渡しまでの期間 中途解約の条項(予告期間)
予告期間に足りない分の賃料 予告期間を待たずに出るとき 中途解約の条項(「予告に代えて◯か月分を払う」など)
違約金 一定の期間内の解約など、契約で定めた場合 違約金・損害金の条項
フリーレント分の返還 フリーレント付きの契約を、決められた期間内に解約したとき フリーレントの特約
原状回復の費用 明け渡しのとき 原状回復の条項
二重賃料 移転先の賃料と重なる期間 今の明け渡し日と、移転先の賃料の発生日

フリーレント付きの契約で、フリーレント分に関する違約金が設定されているケースは、当社も実務で見ています。期間や金額は契約ごとに違うので、特約の文面で確かめてください。

敷金・保証金は、未払いの賃料などを差し引いた残りが、明け渡しの後に返還されます(民法第622条の2)。償却の定めがあれば、その分は戻りません。

違約金の書き方は4つ——契約書の文面で総額が変わる

オフィスの契約書の違約金の条項は、おおむね次の4つの書き方に分かれます。 同じ「中途解約」でも、どの書き方かで総額の桁が変わります。

書き方 契約書の文面の例 総額の決まり方
固定額 「賃料の◯か月分を違約金として支払う」 解約の時期にかかわらず一定
残存期間の賃料全額 「契約期間満了までの賃料相当額を支払う」 早く出るほど高くなる
経過年数で減る型 「1年未満の解約は◯か月分、2年未満は◯か月分」など 契約で決めた基準日が区切りを越えると下がる
定めなし 違約金の条項が無く、予告期間だけが定められている 予告期間の賃料(予告に代わる賃料)だけ

ネットで見かける違約金の目安は、情報源によって幅があり、互いに食い違っています。 一律の金額はなく、自社の契約書がどの書き方かが基準です。

あわせて、違約金の額を決める基準日が、解約の申入日・契約終了日・明渡日のどれかを契約書で確認してください。基準日がどれかは契約によって違い、基準日によっては、申入れや明け渡しの時期で額が変わることがあります。退去時期の候補を出すときは、この基準日を前提に置きます。

「残りの期間の賃料全部」は必ず払うのか

契約書に書かれていても、そのまま全額が認められるとは限りません。 違約金は損害賠償の額の予定と推定され(民法第420条第3項)、その額が高すぎる場合に、一部が無効と判断された裁判例があります。

事業用の建物の賃貸借で、期間4年の契約を約10か月で解約した借主に、貸主が残りの約3年2か月分の賃料相当額を違約金として請求した事案では、1年分を超える部分は公序良俗に反して無効と判断されました(東京地裁平成8年8月22日判決の要旨)。

一方で、定期借家で契約期間全体の賃料相当額の違約金が有効とされた例もあります(東京地裁平成25年6月25日判決の要旨。ただし借主都合の中途解約ではなく、賃料の滞納による解除の事案です)。

判断は、解約の理由、条項を決めた経緯、借主がどこまで理解していたか、建物の用途など、事案ごとに分かれます。 「残り全部」と書かれた契約書を見て不安になったら、条項の有効性は弁護士に相談してください。当社が行うのは、その条項を前提にした場合と、交渉で減らせた場合の総額を、退去時期ごとに並べるところまでです。

定期借家のオフィスを途中で出るとき

定期借家のオフィスを途中で出られるかは、契約書の中途解約の特約しだいです。 借地借家法が借主に認めている定期借家の中途解約の申入れは、居住用で床面積200㎡未満の建物に限られます(同法第38条第7項)。オフィスには、この規定は使えません。

中途解約の特約があれば、その予告期間と違約金の定めに沿って進めます。特約が無い場合は、原則として期間満了まで契約が続き、その間の賃料を払い続けることになりえます。 まず契約書に特約があるかを確認してください。

特約が無い、または違約金が重いときに取れる手段は、次の2つです。

  • 貸主との合意解約 — 明け渡しの時期や、次に借りる会社の目処を示しながら、合意で契約を終わらせる話をします。合意の内容(明け渡し日・違約金・敷金の扱い)は書面に残します。
  • 転貸・賃借権の譲渡 — 残りの期間を他社に使ってもらう形です。どちらも貸主の承諾が必要で(民法第612条)、承諾なく行うと契約を解除されることがあります。契約書で禁止されていることも多いので、条項を確認してから貸主に相談します。

合意解約の話を貸主にいつ持ち出すかは、移転先の日程と合わせて決めます。当社が一緒に整理できることは下の節に書きました。特約の有効性や解除の可否の判断は、弁護士の領域です。

退去時期で総額はどう変わるか

総額を動かすのは、①解約予告を出す日 ②明け渡す日 ③移転先の入居日 の3つです。

たとえば、予告期間が6か月の契約の場合です。移転先の契約後に予告を出すと、移転先の賃料が始まってから今のオフィスの予告期間が明けるまで、両方の賃料を払う期間が出ます。

たとえば、今のオフィスに6か月前の予告を出す日と、移転先の契約開始日が同じ日だとします。移転先の賃料がその日から発生する場合、重なりは最大で予告期間の6か月分になります。移転先の賃料の発生を入居の時期(工事と引越しを終える3か月後)に合わせられた場合や、その期間がフリーレントになった場合は、重なりは3か月分ほどになることがあります。進め方ごとに、起きることを並べると次のとおりです。

進め方 起きやすいこと
予告を先に出してから探す 物件が決まらないまま退去期限が迫る。条件の妥協が必要になることがある
移転先の契約後に予告(すぐ入居できる物件) 行き先は確保できるが、二重賃料が数か月出る
移転先の契約後に予告(入居日が先の物件) 二重賃料は短くなるが、賃料交渉はしにくい傾向がある

当社の実務上、入居日が先の物件は、貸主が急いでいない分、賃料の交渉がしにくい傾向があります。二重賃料を短くすることと、賃料を下げることは、同時には取りにくい——どちらを優先するかは、重なる月数と値下げ幅を金額に直して比べてください。

当社の実務では、内装工事の要らないセットアップオフィスを、入居可能日が今の予告期間の満了と噛み合う時期で選び、フリーレントも取れた場合に、重なりがほとんど無くなることもあります。

3つが同時にそろう物件は限られますが、最初から候補から外す必要はありません。

重なる期間の費用は、二重賃料とは?発生する理由と負担を抑える方法で詳しく扱っています。

候補物件ごとの重なる月数を一緒に出します。退去時期と移転先の日程を相談する(お問い合わせフォーム)

フリーレント分の返還も、退去日しだいです。 返還の条件が「入居から◯年以内の解約」なら、明け渡し日がその期間を過ぎるかどうかで、返還の有無が変わります。条件は契約ごとに違うので、特約の期間を先に確認してください。

原状回復の工事は、明け渡し日までに終える必要があります。その期間も逆算に入れます。進め方はオフィスの原状回復は誰が手配する?にまとめました。

退去時期の決め方(5つの手順)

  1. 契約書の4か所を確認する — 中途解約の条項、予告期間、違約金、フリーレントの返還
  2. 明け渡し日の候補を出す — 原状回復の期間を含めて逆算する
  3. 移転先の入居可能日と並べる — 候補物件ごとに、重なる月数を出す
  4. 総額で比べる — 違約金・返還・二重賃料・原状回復を足し、移転先のフリーレントを差し引く
  5. 移転先の契約後に解約予告を出す — 予告の期限と手順は契約書どおりに

先に確認しておくと早いのは、1番目です。契約書の4か所が分かれば、動かせる日付と動かせない日付がはっきりします。

違約金を減らす交渉で出せる材料

違約金の条項そのものは動かしにくくても、貸主との話に出せる材料はあります。 減るかどうか、どれだけ減るかは貸主とビルの事情しだいなので、約束はできません。それでも、何も出さずに「減らしてほしい」と言うより話が進みやすい材料です。

  • 明け渡し時期の前倒し・後ろ倒し — 貸主が次の募集を始めやすい時期に合わせる。違約金の基準日(申入日/契約終了日/明渡日)が契約書でどれかを確かめ、基準日によって額が変わる契約なら、その前後の案も並べる
  • 次に借りる会社の目処 — 空室の期間が短くなる見込みを示せると、貸主の損失の見方が変わる
  • 原状回復の範囲 — 次の借主が内装を引き継ぐ(居抜き)なら、原状回復の一部を省く代わりに違約金を見直す、という組み合わせもありうる
  • 敷金の扱い — 違約金の支払い方(分割・敷金からの充当)を含めて話す

どの材料を出すかは、移転先の入居日が決まってから整理します。合意した内容は、口頭ではなく書面に残してください。

退去時期が決まったら、移転先を早く押さえる準備も並行して進めます。当社ではこうした事例がありました。

建て替えで退去期限が決まっていた企業に、内見の前に決算書3期分と会社謄本などをそろえてもらい、代表者の内見をその週のうちに確保できるかを確かめてから、内見に進んでもらいました。

審査資料と代表者の日程を先にそろえておくことで、その後の判断を早く進めやすくなります。

更新日と予告期間の関係は【最重要】オフィス移転で最初に確認すべきは「更新日」ではありません、移転全体の逆算は【決算に間に合うか?】オフィス移転の逆算スケジュールで整理しています。

当社が一緒に整理できること

当社は、東京23区で30〜100坪を中心に、借主側の立場でオフィス移転を支援している仲介会社です。

今のオフィスの契約書をもとに退去時期の候補を出し、移転先の入居可能日と組み合わせて、スケジュールを一緒に整理できます。

条項が法的に有効かどうかの判断は、弁護士の領域です。 当社が行うのは、日付とお金を並べて、移転の段取りを組むところまでです。

FAQ

Q. 解約予告を出せば、違約金なしで出られますか?

契約書によります。予告期間を守れば違約金がかからない契約もあれば、一定期間内の解約に違約金やフリーレントの返還を定めた契約もあります。中途解約の条項と特約をあわせて確認してください。

Q. 違約金はいくらが相場ですか?

一律の相場はありません。ネット上の目安も、情報源によって幅があります。自社の契約書の違約金の条項が基準になるので、金額の妥当性に迷う場合は弁護士にご相談ください。

Q. 契約書に「残りの期間の賃料を全額払う」と書いてあります。必ず払うのですか?

契約書に書かれていても、そのまま全額が認められるとは限りません。違約金は賠償額の予定と推定され(民法第420条第3項)、高すぎる部分が無効と判断された裁判例があります。一方で有効とされた例もあり、判断は事案ごとです。条項の有効性は弁護士に相談してください。

Q. 中途解約の条項がない場合はどうなりますか?

期間を定めた契約で途中解約ができるのは、解約の権利を契約で残している場合です(民法第618条)。条項がない場合は、貸主と合意して解約できるかを相談することになります。

Q. オフィスの定期借家は、途中で解約できますか?

契約書に中途解約の特約があれば、その内容に従います。借地借家法の途中解約の規定(第38条第7項)は居住用で床面積200㎡未満の建物に限られ、オフィスは対象外です。特約が無い場合は、貸主との合意解約か、貸主の承諾を得た転貸・賃借権の譲渡(民法第612条)を検討します。

Q. フリーレント期間中に解約すると、どうなりますか?

契約にフリーレント分の返還の特約があれば、免除された賃料を返すことがあります。返還の条件と期間は契約ごとに違うので、特約の文面を確認してください。

Q. 予告期間の途中で移転先に入れたら、今のオフィスの賃料は止まりますか?

止まりません。解約の効力が生じる日までは、今のオフィスの賃料も発生します。この重なりが二重賃料です。

Q. 敷金はいつ返ってきますか?

明け渡しの後に、未払いの賃料などを差し引いた残りが返還されます(民法第622条の2)。償却の定めがあれば、その分は戻りません。

まとめ

オフィスの中途解約は、契約書の中途解約の条項しだいです。条項があれば、その予告期間と手順に沿って進めます。

かかるお金は、違約金だけではありません。 予告期間の賃料、フリーレント分の返還、原状回復、移転先との二重賃料を合わせて見てください。

総額を決めるのは、予告・明け渡し・入居の3つの日付です。 解約予告は移転先の契約後に出し、入居日と明け渡し日を近づけるほど、重なる期間は短くなります。

違約金は、契約書の書き方(固定額・残存期間の全額・経過年数で減る型・定めなし)で総額が変わります。 「残り全部」と書かれていても、高すぎる部分が無効とされた裁判例があるので、不安なら弁護士に相談してください。定期借家のオフィスは特約しだいで、特約が無ければ合意解約か、貸主の承諾を得た転貸・譲渡を検討します。

賃料の値上げ通知を受けて移転を考えている場合は、オフィス賃料の値上げ通知は拒否できる?で、残る場合と移転する場合の比べ方を整理しています。

出典

本文中の数値・相場・制度などの根拠にした資料を掲載しています。

この記事で述べていること 出典(資料名・URL) 公表日 確認日
期間を定めた賃貸借の解約権の留保(第618条)、違約金は賠償額の予定と推定(第420条第3項)、賃借権の譲渡・転貸には貸主の承諾が必要(第612条)、敷金の返還(第622条の2) e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号) — 2026-10-25
定期建物賃貸借の途中解約の規定は居住用・床面積200㎡未満に限られる(第38条第7項) e-Gov法令検索「借地借家法」(平成3年法律第90号) — 2026-10-25
高すぎる違約金の一部を無効とした裁判例(東京地裁平成8年8月22日判決)、定期借家で全期間分の違約金を有効とした裁判例(東京地裁平成25年6月25日判決・滞納による解除の事案)の要旨 みずほ中央法律事務所「賃貸借契約の中途解約と違約金」解説ページほか(事案の要旨を参照。判決文の原文は裁判所の判例集でご確認ください) — 2026-10-25

ご相談

契約期間が残っている段階も、退去時期と移転スケジュールのご相談の対象です。

  • 契約書をもとに退去時期と移転スケジュールを整理したい
  • 移転先の入居日と重なる月数を減らしたい
  • 解約予告を出す前に、移転先の候補を押さえておきたい

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