移転先の候補は見つかった。でも、今のオフィスは契約期間がまだ残っている。
このとき気になるのは「途中で出られるのか」「違約金はいくらか」です。ただ、実務で総額を動かすのは、それだけではありません。
解約予告を出す日、明け渡す日、移転先に入る日——この3つの日付の組み合わせで、払うお金の合計が変わります。
この記事では、中途解約でかかるお金と、退去時期の決め方を整理します。移転全体の流れはオフィス移転とは?流れ・費用・スケジュールにまとめました。
この記事で分かること
- オフィスの中途解約とは何か、途中で出られるかは何で決まるか
- 中途解約でかかるお金の種類
- 退去時期をずらすと、総額がどう変わるか
- 契約書で確認する順番と、退去時期の決め方
結論
- 途中で出られるかは、契約書の中途解約の条項で決まります。 期間を定めた契約で途中解約できるのは、契約で解約の権利を残している場合です。
- かかるお金は、違約金だけではありません。 予告期間の賃料、フリーレント分の返還、原状回復、移転先との二重賃料が重なります。
- 総額を決めるのは3つの日付です。 解約予告を出す日、明け渡す日、移転先の入居日の組み合わせで変わります。
- 解約予告を出すのは、原則として移転先の契約後です。 そのうえで、移転先の入居日と明け渡し日を近づけるほど、重なる期間は短くなります。
目次


オフィスの中途解約とは

中途解約とは、契約期間の途中で賃貸借契約を終わらせることです。 期間の満了を待たずに退去するので、契約書に定めた手順と費用に沿って進めます。
解約予告をいつ出すかは、オフィス移転の解約予告はいつ出す?の担当です。この記事では、期間の途中で出るときのお金と日程に絞ります。
途中で出られるかは契約書で決まる
期間を定めた賃貸借で途中解約ができるのは、契約で解約の権利を残している場合です(民法第618条)。オフィスの契約では、この権利を「中途解約」「期間内解約」といった条項で定めています。
条項があれば、そこに書かれた予告期間と手順に沿って解約する形です。条項がない場合は、貸主との合意で解約できるかを確認する必要があります。個別の契約については、弁護士に確認してください。
定期借家契約でも、契約書の条項しだいという点は変わりません。 借地借家法には定期借家の途中解約の規定がありますが、対象は居住用で床面積200㎡未満の建物に限られ、オフィスは対象外です(同法第38条第7項)。
中途解約でかかるお金
違約金とは、契約に反したときに払うと、あらかじめ決めておくお金です。 民法では、違約金は損害賠償の額の予定と推定されます(民法第420条第3項)。
中途解約でかかる可能性があるお金を並べると、次のとおりです。
| お金 | どんなときにかかるか | 契約書で見る場所 |
|---|---|---|
| 予告期間の賃料 | 解約予告から明け渡しまでの期間 | 中途解約の条項(予告期間) |
| 予告期間に足りない分の賃料 | 予告期間を待たずに出るとき | 中途解約の条項(「予告に代えて◯か月分を払う」など) |
| 違約金 | 一定の期間内の解約など、契約で定めた場合 | 違約金・損害金の条項 |
| フリーレント分の返還 | フリーレント付きの契約を、決められた期間内に解約したとき | フリーレントの特約 |
| 原状回復の費用 | 明け渡しのとき | 原状回復の条項 |
| 二重賃料 | 移転先の賃料と重なる期間 | 今の明け渡し日と、移転先の賃料の発生日 |
ネットで見かける違約金の目安は、情報源によって幅があります。 一律の金額はなく、自社の契約書に何が書かれているかが基準です。
フリーレント付きの契約で、フリーレント分に関する違約金が設定されているケースは、当社も実務で見ています。期間や金額は契約ごとに違うので、特約の文面で確かめてください。
敷金・保証金は、未払いの賃料などを差し引いた残りが、明け渡しの後に返還されます(民法第622条の2)。償却の定めがあれば、その分は戻りません。
違約金の金額が妥当かどうか迷う場合は、弁護士にご相談ください。
退去時期で総額はどう変わるか
総額を動かすのは、①解約予告を出す日 ②明け渡す日 ③移転先の入居日 の3つです。
たとえば、予告期間が6か月の契約の場合です。移転先の契約後に予告を出すと、移転先の賃料が始まってから今のオフィスの予告期間が明けるまで、両方の賃料を払う期間が出ます。
移転先が「すぐ入居できる物件」で、工事と引越しに3か月かかるなら、重なりは3か月分ほどになることがあります。進め方ごとに、起きることを並べると次のとおりです。
| 進め方 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 予告を先に出してから探す | 物件が決まらないまま退去期限が迫る。条件の妥協が必要になることがある |
| 移転先の契約後に予告(すぐ入居できる物件) | 行き先は確保できるが、二重賃料が数か月出る |
| 移転先の契約後に予告(入居日が先の物件) | 二重賃料は短くなるが、賃料交渉はしにくい傾向がある |
当社の実務上、入居日が先の物件は、貸主が急いでいない分、賃料の交渉がしにくい傾向があります。二重賃料を短くすることと、賃料を下げることは、同時には取りにくい——どちらを優先するかは、重なる月数と値下げ幅を金額に直して比べてください。
当社の実務では、内装工事の要らないセットアップオフィスを、入居可能日が今の予告期間の満了と噛み合う時期で選び、フリーレントも取れた場合に、重なりがほとんど無くなることもあります。
3つが同時にそろう物件は限られますが、最初から候補から外す必要はありません。
重なる期間の費用は、二重賃料とは?発生する理由と負担を抑える方法で詳しく扱っています。
フリーレント分の返還も、退去日しだいです。 返還の条件が「入居から◯年以内の解約」なら、明け渡し日がその期間を過ぎるかどうかで、返還の有無が変わります。条件は契約ごとに違うので、特約の期間を先に確認してください。
原状回復の工事は、明け渡し日までに終える必要があります。その期間も逆算に入れます。進め方はオフィスの原状回復は誰が手配する?にまとめました。
退去時期の決め方(5つの手順)
- 契約書の4か所を確認する — 中途解約の条項、予告期間、違約金、フリーレントの返還
- 明け渡し日の候補を出す — 原状回復の期間を含めて逆算する
- 移転先の入居可能日と並べる — 候補物件ごとに、重なる月数を出す
- 総額で比べる — 違約金・返還・二重賃料・原状回復を足し、移転先のフリーレントを差し引く
- 移転先の契約後に解約予告を出す — 予告の期限と手順は契約書どおりに
先に確認しておくと早いのは、1番目です。契約書の4か所が分かれば、動かせる日付と動かせない日付がはっきりします。
退去時期が決まったら、移転先を早く押さえる準備も並行して進めます。当社ではこうした事例がありました。
建て替えで退去期限が決まっていた企業に、内見の前に決算書3期分と会社謄本などをそろえてもらい、代表者の内見をその週のうちに確保できるかを確かめてから、内見に進んでもらいました。
審査資料と代表者の日程を先にそろえておくことで、その後の判断を早く進めやすくなります。
更新日と予告期間の関係は【最重要】オフィス移転で最初に確認すべきは「更新日」ではありません、移転全体の逆算は【決算に間に合うか?】オフィス移転の逆算スケジュールで整理しています。
当社が一緒に整理できること
当社は、東京23区で30〜100坪を中心に、借主側の立場でオフィス移転を支援している仲介会社です。
今のオフィスの契約書をもとに退去時期の候補を出し、移転先の入居可能日と組み合わせて、スケジュールを一緒に整理できます。
条項が法的に有効かどうかの判断は、弁護士の領域です。 当社が行うのは、日付とお金を並べて、移転の段取りを組むところまでです。
FAQ
Q. 解約予告を出せば、違約金なしで出られますか?
契約書によります。予告期間を守れば違約金がかからない契約もあれば、一定期間内の解約に違約金やフリーレントの返還を定めた契約もあります。中途解約の条項と特約をあわせて確認してください。
Q. 違約金はいくらが相場ですか?
一律の相場はありません。ネット上の目安も、情報源によって幅があります。自社の契約書の違約金の条項が基準になるので、金額の妥当性に迷う場合は弁護士にご相談ください。
Q. 中途解約の条項がない場合はどうなりますか?
期間を定めた契約で途中解約ができるのは、解約の権利を契約で残している場合です(民法第618条)。条項がない場合は、貸主と合意して解約できるかを相談することになります。
Q. オフィスの定期借家は、途中で解約できますか?
契約書に中途解約の条項があれば、その内容に従います。借地借家法の途中解約の規定は居住用の一部の建物に限られ、オフィスは対象外です。
Q. フリーレント期間中に解約すると、どうなりますか?
契約にフリーレント分の返還の特約があれば、免除された賃料を返すことがあります。返還の条件と期間は契約ごとに違うので、特約の文面を確認してください。
Q. 予告期間の途中で移転先に入れたら、今のオフィスの賃料は止まりますか?
止まりません。解約の効力が生じる日までは、今のオフィスの賃料も発生します。この重なりが二重賃料です。
Q. 敷金はいつ返ってきますか?
明け渡しの後に、未払いの賃料などを差し引いた残りが返還されます(民法第622条の2)。償却の定めがあれば、その分は戻りません。
まとめ
オフィスの中途解約は、契約書の中途解約の条項しだいです。条項があれば、その予告期間と手順に沿って進めます。
かかるお金は、違約金だけではありません。 予告期間の賃料、フリーレント分の返還、原状回復、移転先との二重賃料を合わせて見てください。
総額を決めるのは、予告・明け渡し・入居の3つの日付です。 解約予告は移転先の契約後に出し、入居日と明け渡し日を近づけるほど、重なる期間は短くなります。
出典
本文中の数値・相場・制度などの根拠にした資料を掲載しています。
| この記事で述べていること | 出典(資料名・URL) | 公表日 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| 期間を定めた賃貸借の解約権の留保(第618条)、違約金は賠償額の予定と推定(第420条第3項)、敷金の返還(第622条の2) | e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号) | — | 2026-09-11 |
| 定期建物賃貸借の途中解約の規定は居住用・床面積200㎡未満に限られる(第38条第7項) | e-Gov法令検索「借地借家法」(平成3年法律第90号) | — | 2026-09-11 |
ご相談
契約期間が残っている段階も、退去時期と移転スケジュールのご相談の対象です。
- 契約書をもとに退去時期と移転スケジュールを整理したい
- 移転先の入居日と重なる月数を減らしたい
- 解約予告を出す前に、移転先の候補を押さえておきたい
退去時期が決まれば、物件探しから内見・契約まで、その日程に合わせて早めに進めます。ご相談・物件提案・内見のご案内まで、すべて無料です。
株式会社gram(グラム)
電話 03-6869-5265(平日 9:00〜18:00)/ お問い合わせフォームからもご連絡いただけます。

