オフィスの増床とは、いまのオフィスを使い続けたまま床面積を広げることです。同じビルで借り足す「館内増床(内部増床)」と、近くの別のビルに借りる「分室増床」が代表的な形で、より広いオフィスへ移る「移転」と並べて比べるのが実務の進め方です。
「席が足りなくなってきた。でも移転は大ごとだから、同じビルで少し広げられないか」
人が増え始めた会社では、まずこう考えるのが自然です。同じビルで広げられれば、住所の変更はいりません(区画によっては、館内での移動や搬入は必要です)。
ただし、増床には増床の手間とお金がかかります。この記事では、増床・分室・移転の3つを、人数・契約・費用・期間で比べる考え方を整理します。移転全体の進め方はオフィス移転とは?流れ・費用・スケジュールにまとめました。
この記事で分かること
- オフィスの増床とは何か、どんな形があるか
- 増床か移転かを決める前に数えること
- 同じビルで借り足すときに確認すること
- 分室や2フロアにすると何が起きるか
- 増床・分室・移転を、1〜2年の総額で比べる方法
結論
- 最初に数えるのは、いまの人数ではなく1〜2年後の人数です。 その人数から、必要な広さを出します。
- 同じビルの増床は、空きがあることが前提です。 空きがあっても、契約が別になる・賃料が今と違う、といった点を確認します。
- 分室や2フロアは、席が増える代わりに運用の手間も増える方法です。 受付・会議室・通信・複合機が2か所に分かれます。
- 1〜2年後の人数が増床後の広さに収まらないなら、移転を検討する時期です。 広げても、すぐにまた足りなくなります。
増床か移転かで迷っている段階から相談できます。
同じビルで広げる場合と、近くへ移転する場合の候補を並べて比べます。増床と移転の選択肢を相談する/お電話 03-6869-5265(平日 9:00〜18:00)
目次
- オフィスの増床とは
- 決める前に数える:いまの人数と1〜2年後の人数
- 同じビルで借り足すときの確認点
- 分室や2フロアにすると起きること
- 同じビルで増床できないときの選択肢
- 増床・分室・移転の比べ方
- 移転を選んだほうがよいサイン
- 当社が一緒に比べられること
- FAQ
- まとめ
オフィスの増床とは

オフィスの増床とは、いま使っているオフィスの面積を広げることです。 移転せずに席や会議室を増やす方法として検討されます。
形は大きく3つあります。
- 同じビルで借り足す(館内増床):同じフロアの隣の区画や、別のフロアを追加で借りる。いまの区画ごと、同じビルのより広い区画へまとめて移る方法もある
- 分室を借りる(分室増床):近くの別のビルに、もう1か所オフィスを借りる
- 移転する:いまのオフィスを出て、必要な広さのオフィスへまとめて移る
厳密には、移転は増床ではありません。ただ、「広げたい」という目的は同じなので、3つを並べて比べるのが実務の進め方です。
広げる前に、レイアウト変更で足りるかも確かめてください。 当社でも、移転せずにレイアウト変更で対応したケースや、借り増しをして複数フロアにしたケースがあります。
昨今は、物価高や賃料・移転関連コストの上昇もあり、条件に合う移転先を見つけられずに今のオフィスを活かす企業も増えているように、当社の仲介実務では感じています。統計ではなく、実務上の感覚です。
決める前に数える:いまの人数と1〜2年後の人数

広さは、1〜2年後の人数から逆算します。 いまの人数に合わせて広げると、採用が進んだ時点でまた足りなくなります。
1人あたりの必要面積は、当社の実務では2〜3坪が目安です(2026年9月時点)。ただし、使い方によって上下します。
参考までに、ザイマックス総研の調査では、東京23区のオフィスの在籍1人あたり面積は中央値で3.8坪でした(「1人あたりオフィス面積調査(2026年)」。2026年4〜5月調査・会議室や受付なども含めた賃借面積)。調査の面積と当社の目安は数え方が同じとは限らないため、そのまま比べず、会議室や来客スペースを多く取る会社ほど広めに見ておく、という程度の参考にしてください。
- 執務席だけでなく、通路・会議室・収納・受付を含めた面積で考える
- フリーアドレスにするか、固定席にするか
- 会議室をいくつ持つか、来客が多いか
たとえば1〜2年後に30名になる見込みなら、使い方しだいで60〜90坪の幅で考えることになります。この幅が、いまのオフィスと借り足せる区画の合計に収まるかどうかが、最初の分かれ目です。
現在の人数に対して希望の坪数がかなりぴったりの場合などは、「今後増員するとすぐ手狭になる可能性があります」と、将来の人数を踏まえた提案を当社からすることもあります。
人数から坪数を出す考え方は、オフィス面積の決め方で詳しく扱っています。
同じビルで借り足すときの確認点
同じビルでの増床は、空きがあって初めて選べる方法です。 空きが出ていても、次の点で思っていた形にならないことがあります。
1. 契約が別になるか
追加で借りる区画は、いまの契約とは別の契約になることがあります。別契約なら、契約期間の満了日も解約予告の期限も2つ。 将来まとめて移転するとき、2つの期限を合わせる必要が出てきます。
借りる前に、追加区画が普通借家か定期借家か、満了日をいまの契約にそろえられないかを貸主に確認してください。増床してすぐに移転することになると、追加区画の解約予告期間や、契約によっては違約金がかかることもあります。
2. 賃料が今と同じとは限らない
新しく借りる区画の賃料は、いまの市況で決まります。2026年は空室率が低く、賃料が上がっている時期です。いまの区画と同じ単価で借りられる前提で予算を組まないでください。
ただ、当社の実務上、同じビルで複数のフロアが空いている場合は、賃料の条件が下がりやすい傾向があります。空きの数も、交渉の材料になります。
3. 敷金・工事・原状回復も区画ごとにかかる
別の区画を借りれば、その区画の敷金・保証金が必要です。隣の区画とつなげて壁を抜く場合は、ビルの承認、工事の範囲と制限、退去時にどこまで戻すか(原状回復の範囲)を、借りる前に確認しておきます。
敷金・保証金の月数は物件ごとに違うため、候補の区画の募集条件で確認します。内装工事と、将来の原状回復もその区画の分だけ増えます。
敷金・保証金の仕組みはオフィスの敷金・保証金とは?で整理しています。
4. 空きはすぐ埋まる
良い区画ほど、早く埋まるのが今の市況です。同じビルに空きが出たら、増床するかどうかを早く決める必要があります。社内の検討に時間がかかると、その間に他社が決めてしまいます。
同じビルで増床した実例
食品関連の会社様は、何年も移転を検討していましたが、賃料の上昇で条件に合う移転先が見つからず、悩んでいました。その後、同じビルの別の区画が空き、賃料を抑えて借りることができました。いまの区画は残したまま借り増し、会議室と執務室を分けて使っています。女性用トイレを複数確保したいという希望もあり、その点でも良い選択だったと当社は考えています。
移転先が見つからないときに、同じビルの空きが受け皿になった例です。ただし、空きが出るかどうかは選べません。増床の可能性を待つ間も、移転の候補は並行して探しておくのが現実的です。
分室や2フロアにすると起きること

分室や2フロアは、席は増えても、会社の中が2か所に分かれる方法です。
分室とは、いまのオフィスとは別の建物に、追加で借りるオフィスのことです。事前に数えておきたい重複と手間を挙げます。
- 受付・来客対応:どちらで受けるか、案内をどうするか
- 会議室:両方に置くか、片方に寄せるか
- 通信・複合機・セキュリティ:回線や機器、入退室の管理が2か所分になる
- 社内のやり取り:部署が分かれると、行き来の時間が発生する
分室は、同じビルに空きがないときの受け皿になります。一方で、分室にも敷金・保証金と、将来の原状回復の費用が必要です。 一時的なつもりで借りた分室が、そのまま長く続くこともあります。
同じビルで増床できないときの選択肢
同じビルに空きが無いときは、待つか、別の方法で席を足すかを決めます。 選択肢を順に並べます。
- 空きの予定を先に聞いておく:管理会社や貸主に増床の希望を伝えておくと、退去の予定が出たときに声がかかることがあります。仲介会社に、同じビルや近くのビルの退去予定の情報を探してもらう方法もあります
- 近くのビルに分室を借りる:分室でも新しいビルの入居審査があり、敷金・保証金と将来の原状回復がかかります
- 1〜2年だけ席を足す:内装付きのセットアップオフィスや、サービスオフィスを使う方法です。借りられる期間、初期費用、原状回復が要るかどうかで比べます
- レイアウトを見直す:会議室の数や通路の取り方を変えて、席を増やせることがあります
- 移転する:1〜2年後の人数が、どの方法でも収まらないとき
空きが出るかどうかは選べないので、増床の可能性を待つ間も、移転の候補は並行して見ておくと、契約の期限が近づいても慌てずに決められます。
増床・分室・移転の比べ方
3つの方法を、同じ物差しで並べると次のようになります。
| 同じビルで借り足す | 分室を借りる | 移転する | |
|---|---|---|---|
| 前提 | 同じビルに空きがある | 近くに条件の合う物件がある | 必要な広さの物件がある |
| 契約 | 追加の区画は別契約になることがある | 別の建物で別契約 | いまの契約を解約し、新しく契約 |
| お金 | 追加区画の敷金・工事・将来の原状回復 | 分室の敷金・工事・将来の原状回復・機器の二重化 | 新オフィスの初期費用・内装・引越・旧オフィスの原状回復・二重賃料 |
| 期間 | 空き次第で比較的早い | 物件探しから必要 | 物件探しから入居まで。期間は物件と工事の内容しだい |
| 運用 | 2区画・2フロアに分かれることがある | 2か所に分かれる | 1か所にまとまる |
比べるときは、月額賃料だけでなく、1〜2年の間に出ていくお金の合計で見てください。 増床は初期の負担が小さく見えても、あとで移転することになれば、追加区画と移転先で工事費や原状回復費が重なる場合があります。内装付きの区画や原状回復の条件によって変わるので、支払いの時期と契約条件も確認してください。
この表を、自社の人数と契約の期限で作ります。
現在の面積と人数、1〜2年後の人数、必要な会議室、いまの契約の期限をお知らせください。増床・分室・移転の候補を比べてもらう
移転を選んだほうがよいサイン
次のどれかに当てはまるなら、増床より移転を先に検討してください。
- 1〜2年後の人数が、増床後の広さにも収まらない
- 同じビルに空きがなく、分室でしか広げられない
- 会議室や来客スペースの不足が、席の不足より困っている
- いまの契約の満了や更新が近い
契約の満了が近い場合は、増床の工事をしてすぐに退去することになりかねません。増床か移転かは、いまの契約の期限と並べて決めます。
移転に進むと決めた場合の進め方は、【採用増員・人員削減】が理由でオフィス移転が確定したときの進め方で整理しました。
当社が一緒に比べられること
当社は、東京23区で30〜100坪を中心に、借主側の立場でオフィス移転を支援している仲介会社です。
増床か移転かで迷っている段階では、同じビルで広げる場合と、近くへ移転する場合の候補を並べて比べるところからお手伝いできます。費用は、1〜2年の総額で見られる形にそろえるのが基本です。
FAQ
Q. 同じビルに空きがあれば、増床のほうが安く済みますか?
初期の負担は小さく済むことがあります。ただし、追加の区画にも敷金・工事・将来の原状回復がかかります。1〜2年のうちに移転することになれば、追加区画と移転先で工事費や原状回復費が重なる場合があります(内装付きの区画や原状回復の条件によって変わります)。支払いの時期と契約条件も確認し、期間を区切った合計で比べてください。
Q. 追加で借りた区画は、いまの契約にまとめられますか?
建物と貸主の判断によります。別の契約になる場合もあるので、注意してください。別契約の場合は、満了日や解約予告の期限が2つに分かれるので、将来の移転時期に影響します。
Q. 何人になったら移転を考えるべきですか?
人数だけでは決まりません。1人あたり2〜3坪(2026年9月時点の当社の目安)で、1〜2年後の人数から必要な広さを出し、それが増床後の広さに収まるかで判断します。会議室や来客スペースの不足も、判断材料の一つです。
Q. 10人のオフィスなら、何坪が目安ですか?
1人あたり2〜3坪(2026年9月時点の当社の目安)で考えると、20〜30坪ほどです。会議室の数や来客の多さで上下します。50坪で何人が使えるかは、50坪オフィスは何人まで使える?で整理しました。
Q. 移転も増床もせずに済ませる方法はありますか?
レイアウト変更で席を増やせる場合があります。当社でも、移転せずにレイアウト変更で対応したケースがあります。会議室の数や通路の取り方を見直してから、借り増しや移転を検討してください。
Q. 分室は一時的な対策として使えますか?
使えます。ただし、分室にも敷金・保証金と将来の原状回復がかかり、通信や機器も2か所分になります。一時的なつもりでも、終わりの時期を決めておかないと長く続きがちです。
Q. 増床するとき、賃料は今の区画と同じですか?
同じとは限りません。新しく借りる区画の賃料は、いまの市況で決まります。2026年は賃料が上がっている時期なので、今の単価を前提に予算を組まないでください。
Q. 増床か移転か迷っている段階でも相談できますか?
できます。同じビルで広げる場合と、移転する場合の候補を並べて比べるところからお手伝いします。ご相談は無料です。
まとめ
広さを確保する方法には、同じビルで借り足す(館内増床)・分室を借りる(分室増床)・移転する、の3つがあります。
最初に数えるのは、1〜2年後の人数です。 その人数から、必要な広さを出してください。
同じビルの増床は、空き・契約・賃料の3点を確認します。 分室や2フロアは、席は増えても運用が2か所に分かれます。
1〜2年後の人数が収まらないなら、移転を検討する時期です。 増床か移転かは、いまの契約の期限と並べて決めてください。
ご相談
席が足りなくなってきた段階で、広げ方の候補と費用を並べて比べられます。
- 増床と移転の候補・費用を比較したい
- 1〜2年後の人数から、必要な坪数を確認したい
- いまの契約の期限に間に合うか整理したい
同じビルや近くで条件に合う空きが出たときに備えて、新着物件も継続してお探しします。ご相談・物件提案・内見のご案内までは無料です。ご契約時の仲介手数料は賃料1ヶ月分(税別)です。
株式会社gram(グラム)
電話 03-6869-5265(平日 9:00〜18:00)/ 増床と移転の選択肢を相談する(お問い合わせフォーム)

