オフィス移転で物件が決まりそうになると、次に気になるのが
「申込から契約までは、どう進むのか」
という点です。
この段階になると、すでに移転の判断はある程度固まっていて、
「今すぐ実務を進めたい」という状態の企業も多いと思います。
ただ、オフィス契約は申込を出したらすぐ契約できるというものではありません。
実際には、
・申込書の提出
・審査
・条件調整
・契約書の作成
・重要事項説明
・契約・入金
という流れを踏んで進みます。
特に、退去期限や解約予告期間が迫っているケースでは、
この流れを把握せずに動くと、「物件は決まりそうだったのに、契約が間に合わない」ということも起こります。
この記事では、
オフィスの申込から契約までの一般的な流れを、実務ベースで整理します。
移転全体の流れはオフィス移転の進め方で解説しています。
オフィスの申込から契約までは、通常どのくらいかかる?
当社の仲介実務では、申込から契約まで2〜4週間程度を目安にしています。物件や審査・条件交渉の状況、貸主側の手続きによって前後します。
物件や貸主、管理会社、審査の状況によって差はあります。当社の仲介実務では、初回のご相談から14日で契約を締結した事例があります。
特に、以下のようなケースでは時間がかかりやすくなります。
・提出書類が揃っていない
・会社の確認事項が多い
・契約条件の調整が必要
・契約開始日のすり合わせに時間がかかる
・管理会社や貸主の確認に時間がかかる
「申込したから、あとは契約するだけ」と思っていると、
想定より後ろにずれ込むことがあります。
急ぎの移転では、物件探しのスピードだけでなく、申込後の進行速度もかなり重要です。
申込書を出す前の段階から相談できます。
条件の優先順位と提出できる書類を申込の前にそろえておくと、審査と条件調整で止まりにくくなります。退去期限から逆算して、いつまでに申込を出せばよいかを一緒に整理します。申込から契約までの進め方を相談する/お電話 03-6869-5265(平日 9:00〜18:00)
オフィス申込から契約までの流れ
ここからは、一般的な流れを順番に見ていきます。
1. 申込書を提出する
まず最初に行うのが、申込書の提出です。
申込書には、たとえば以下のような内容を記載します。
・会社名
・代表者名
・所在地
・事業内容
・従業員数
・希望面積
・希望入居日
・利用目的
・連帯保証人の情報(物件によって。保証会社を使う物件では求められないこともあります)
この時点では、まだ契約は成立していません。
あくまで「この条件で借りたい」という意思表示にあたります。
また、物件によっては申込書とあわせて、次のような資料提出を求められることがあります。
・会社謄本
・決算書
・会社概要
・代表者の本人確認書類
・事業内容が分かる資料
・HPやサービス資料
・経歴書
・収入証明書
上に挙げたのは、申込のときに求められる書類です。契約のときには、印鑑証明書や登記事項証明書(会社謄本)の原本をあらためて求められることがあります。「発行から3ヶ月以内」などの条件は物件ごとに違うため、申込の段階で契約時の書類も確認しておくと、取り直しで止まりません。
この提出が遅れると、そのぶん後の審査も遅れます。
急ぎ案件では、申込前に必要書類をある程度揃えておくことが大切です。
申込を取り下げたらどうなるか
申込書は「この条件で借りたい」という意思表示で、提出しただけでは、通常は契約の成立には至りません。ただし、契約が成立したかどうかは個別の状況によります。取り下げを考えるときは、その前に仲介会社に確認してください。
申込のときに仲介会社(宅地建物取引業者)へ預り金(申込金)を預けていた場合、その業者が申込の撤回に際して預り金の返還を拒むことは法律で禁止されています(宅地建物取引業法47条の2第3項、同法施行規則16条の11第2号)。
ただし、申込を出すと、貸主や管理会社の側では審査などの準備が始まります。取り下げを前提にした申込は避け、申込の前に条件の優先順位を決めておくことが大切です。
2. 入居審査が行われる
入居審査とは、申込みを受けた貸主や管理会社が、その企業に貸してよいかを確認する手続きのことです。
申込後は、貸主や管理会社による入居審査に入ります。
審査で見られるポイントは物件によって異なりますが、主に確認されるのは次のような内容です。
・どんな事業を行っている会社か
・事業内容に問題がないか
・会社として継続性がありそうか
・支払い面で大きな懸念がないか
・利用方法が物件に合っているか
オフィスの審査は、住宅の賃貸審査とは少し違い、事業内容との相性やビル側の運用方針も見られます。
たとえば、業種によってはビルの規約や他テナントとの兼ね合いで難しくなることもあります。
審査の期間は、当社の仲介実務では3日〜1週間程度を目安にしています。
ただし、確認事項が多い場合や、追加資料の提出が必要になった場合は、さらに時間がかかることがあります。
保証会社の審査と貸主の審査でそれぞれ何を見られるかは、オフィスの入居審査で見られるポイントで解説しています。
3. 条件の最終確認・調整を行う
審査が進むと、契約条件の最終確認に入ります。
ここで整理する内容は、たとえば以下です。
・契約の種類(普通借家か定期借家か)
・賃料
・共益費
・保証金
・礼金の有無
・フリーレントの有無
・契約開始日
・入居可能日
・原状回復の条件
・更新条件
・保証会社利用の有無
この段階で、条件交渉が入ることもあります。
ただし、急ぎの移転では、何でもかんでも交渉すればよいわけではありません。
条件交渉によって話が長引くと、その分だけ契約時期が後ろにずれます。
そのため、急ぎ案件では「何を優先するか」を整理しておくことが重要です。
たとえば、
・賃料を少しでも下げたいのか
・契約開始日を優先したいのか
・フリーレントを優先したいのか
・退去期限に間に合わせることを最優先するのか
ここが曖昧だと、申込後の調整が長引きやすくなります。
優先順位の付け方の一例として、当社で仲介した案件の一つを挙げます。
神田周辺で50坪前後を探していた企業様の場合、予算100万円前後で、男女別トイレ・会議室2室・駅徒歩5分以内を希望されていました。予算を優先し、岩本町や東神田まで探す範囲を広げたことで、予算内で確保できたケースもあります。
同じように探す範囲を広げても、希望条件に合う物件が見つかるとは限りません。そのときの募集状況によって変わります。
4. 契約書が作成される
条件が固まると、管理会社や貸主側で契約書の作成に入ります。契約書には、以下のような重要事項が記載されます。
・契約期間
・賃料・共益費
・保証金
・契約開始日
・支払条件
・解約予告期間
・原状回復義務
・禁止事項
・特約条項
この作成には、当社の仲介実務では3日〜7日程度を目安に見ています。
特に法人契約では、社内確認や法務確認が入ることもあるため、契約書が出てきてからも、すぐ締結できるとは限りません。
ここで大事なのは、「急いでいるから細かい契約内容は後回し」にはしないことです。
急ぎ案件でも、以下は必ず確認しておきたいポイントです。
・解約予告期間は何ヶ月前か
・原状回復の範囲はどこまでか
・保証金の償却や返還条件はどうなっているか
・契約開始日はいつか
・いつから賃料が発生するか
移転の期限が迫っていると、どうしても「早く決めたい」が先に立ちますが、契約条件の見落としは後から大きな負担になります。
5. 重要事項説明を受ける
契約の前に、仲介会社(宅地建物取引業者)の宅地建物取引士から、重要事項説明を受けます。
重要事項説明とは、借りようとする物件と契約の条件について、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士が書面を交付して説明する手続きです(宅地建物取引業法35条1項)。契約書への署名・捺印の直前ではなく、内容を確認する時間を取れる日程にしておくと安心です。
説明の中で、特に確認したい点は次の5つです。
・契約の種類(普通借家か定期借家か)
・契約期間と更新の条件(自動更新か、更新料の有無)
・解約予告期間と、中途解約の条件・違約金
・原状回復の範囲と、工事区分・指定業者の有無
・保証金の償却と返還の条件
定期借家(定期建物賃貸借)は契約の更新がなく、期間満了で契約が終わります。この契約を結ぶときは、貸主があらかじめ、更新がないことを記載した書面を交付して説明することが法律で定められています(借地借家法38条1項・3項)。事務所の定期借家は、特約が無いと期間の途中で解約できないことがあります。詳しくはオフィスの中途解約と違約金で解説しています。
解約予告期間の数え方と更新日との関係はオフィスの解約予告期間と契約書の確認箇所にまとめています。
6. 契約・入金を行う
契約書の内容に問題がなければ、契約手続きと初期費用の入金に進みます。
一般的に、契約時に発生する費用は次のようなものです。
・保証金
・前家賃
・共益費
・仲介手数料
・保証会社費用
・火災保険料
重要事項説明・契約書への署名・捺印、必要書類の提出、初期費用の入金が完了して、正式に契約成立となります。
この段階まで来て初めて、「借りられる状態が確定する」と考えるのが安全です。
申込時点ではまだ確定ではないため、社内や引越会社、内装会社への共有も、タイミングを見ながら進める必要があります。
申込後に止まりやすいポイント
オフィスの申込から契約までで、実際によく止まりやすいのは次のような場面です。
【必要書類が足りない】
申込後に書類の準備を始めると、提出までに時間がかかります。
特に決算書や謄本、社内承認資料の準備で止まりやすいです。
【契約開始日が曖昧】
「できるだけ早く」だけでは進みにくく、貸主側とのすり合わせに時間がかかります。
【条件の優先順位が決まっていない】
賃料、フリーレント、入居日、初期費用など、何を重視するのかが社内で揃っていないと調整が長引きます。
【社内決裁が間に合わない】
物件側は進められても、社内の承認が遅いと契約できません。
急ぎ案件ほど、社内の決裁フローまで先に確認しておく必要があります。
急ぎのオフィス移転で重要なのは、申込後に頑張ることではなく、申込前にどこまで整理できているかです。
申込の前に書類をそろえておいた例
当社で仲介した案件の一つです。
建て替えで退去期限が迫っていた企業様の場合、内見の前に決算書3期分と会社謄本をそろえていただき、代表者の内見をその週に確保できるかを確かめてから、内見に進みました。
申込の段階で書類を出せる状態にしておくと、審査の開始を待たせずに済みます。別の案件では、内見を3件に絞り、申込を前提に判断する進め方に切り替えたこともあります。ただし、同じように準備しても、審査の結果や所要期間は物件や貸主によって変わります。
審査書類の準備と代表者の日程の押さえ方を相談する(お問い合わせフォーム)
たとえば、事前に以下がまとまっていると進行はかなり変わります。
・希望条件の優先順位
・予算の上限
・希望契約開始日
・社内決裁者
・提出可能な書類
・現オフィスの解約予告期間
・退去期限
・内装工事の有無
・候補物件の契約の種類(普通借家か定期借家か)
ここが整理されていないと、物件が見つかっても申込後に止まりやすくなります。
逆に、ここまで整理できていれば、申込から契約までを比較的スムーズに進めやすくなります。
オフィス移転では、「良い物件があるか」だけでなく、その物件で契約まで間に合うかが非常に重要です。
特に、次のような企業は注意が必要です。
・解約予告期間が迫っている
・退去日が決まっている
・更新まで時間がない
・内装や引越のスケジュールも詰まっている
この場合、申込後の1週間、2週間のズレが、そのまま移転全体の遅れにつながることがあります。
だからこそ、物件選定だけでなく、申込後の流れまで見据えて動くことが大切です。
あわせて読みたい:オフィス移転の申込とは、オフィス申込の正しい出し方
まとめ|オフィス申込から契約までは「流れを理解して進める」ことが重要
オフィスの申込から契約までは、一般的に以下の流れで進みます。
1. 申込書を提出する
2. 入居審査を受ける
3. 条件の最終確認を行う
4. 契約書を作成する
5. 重要事項説明を受ける
6. 契約・入金を行う
期間の目安は、当社の仲介実務では2〜4週間程度です(物件や審査・交渉の状況によって前後します)。
ただし、急ぎの移転では、この期間がそのまま移転スケジュールに影響します。
そのため、申込後の流れを正しく理解したうえで、
必要書類や条件整理を先に進めておくことが重要です。
「申込までは進めそうだけど、契約まで間に合うか不安」
「退去期限があるので、どこで詰まりやすいか先に知っておきたい」
という場合は、早めにご相談ください。
当社は、移転期限が決まっている企業のオフィス探しに特化しています。希望の坪数が決まっていなくてもご相談いただけます。
物件検索サイトでご自身で探す必要はありません。希望条件をお伝えいただくだけで、条件に合う新着物件を毎日確認してご提案します。内見は、物件の状況が合えば当日のご案内にも対応します。一次返信はできる限り当日中、遅くとも翌営業日までにお送りします。
ご相談・物件提案・内見のご案内までは無料です。ご契約時の仲介手数料は賃料1ヶ月分(税別)です。
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