オフィス移転でコストを抑えたい企業ほど、
「もう少し待てば安い物件が出るのでは?」
と考えることがあります。
しかし、東京23区のオフィス市場では、待つことで条件が良くなるケースは多くありません。
むしろ、判断が遅れたことで希望物件を逃し、結果的に賃料や移転コストが増えてしまうケースをよく見かけます。
この記事では、なぜコストカットを考える企業ほど早めに動いた方が良いのかを実務ベースで解説します。
目次
この記事でわかること
- なぜ待つほど不利になりやすいのか
- 東京オフィス市場の実態
- 実際によくある失敗事例
- コストを抑える正しい考え方
- 判断が遅れた場合に起きるリスク
結論
コストを抑えたいなら、
「安い物件を探す」よりも「良い物件を逃さない」ことが重要です。
東京のオフィス市場では、
- 良い物件ほど早く決まる
- 賃料は下がりにくい
- 選択肢は時間とともに減る
という傾向があります。
そのため、移転コストを抑えたい企業ほど、早めの情報収集と意思決定が有利になります。
なぜ待つほど損になるのか
結論
東京のオフィス市場は「早い者勝ち」の要素が強いためです。
近年は、
- 建築費の上昇
- 人件費の上昇
- 新築オフィスの賃料上昇
が続いています。
その結果、同条件の物件が数か月後に安くなる保証はありません。
待つことで起きること
待つことで増えるのは選択肢ではなく、リスクです。
| 待った場合に起きること | 影響 |
|---|---|
| 希望物件が終了する | 条件の良い候補を失う |
| 賃料が上がる | 毎月の固定費が増える |
| 条件が悪くなる | 妥協が必要になる |
| 解約期限が迫る | スケジュールが厳しくなる |
| 二重家賃が発生する | 想定外の出費になる |
特に半年以内に退去予定がある企業は注意が必要です。
良い物件から消える理由
良い物件は誰が見ても良い
例えば、
- 駅徒歩5分以内
- セットアップオフィス
- 初期費用が抑えられる
- 即入居可能
- レイアウト効率が良い
こうした物件は複数社が同時に検討します。
そのため、
「来週また見よう」
と思っている間に募集終了することも珍しくありません。
安い物件ほど市場に出にくい
条件の良い物件は、
- 長期間入居される
- 退去前から問い合わせが入る
- 公開前に決まる
ケースもあります。
つまり、
「もっと安い物件が出るまで待つ」
という考え方自体が成立しにくい市場なのです。
実際によくある失敗事例
※以下は実際によくあるケースをもとにした一例です。
ケース① 社内稟議中に終了
50坪前後で移転を検討していた企業様の事例です。
内見後に社内稟議へ進みましたが、決裁まで約2週間。
その間に別企業から申込みが入り募集終了となりました。
結果として、
同条件帯で月額約8万円高い物件へ移転することになりました。
年間では約96万円の差になります。
ケース② 比較しすぎて全部逃した
60坪前後で移転を検討していた企業様の事例です。
候補物件を10件以上比較している間に、
- 第一希望
- 第二希望
- 第三希望
がすべて募集終了。
結果として、
当初検討していたエリアを諦め、月額約12万円高い物件で契約することになりました。
年間では約144万円の差になります。
ケース③ 二重家賃が発生
判断が遅れたことで、
退去期限までに移転準備が間に合わず、
現オフィスと新オフィスの賃料が重なったケースです。
例えば月額80万円のオフィスの場合、
80万円 × 2か月 = 160万円
の追加コストになります。
本来は避けられた支出でしたが、
物件選定と意思決定に時間をかけすぎたことで発生してしまいました。
良い物件が見つかってもすぐ入居できるわけではない
ここは意外と見落とされるポイントです。
物件が決まっても、翌日からオフィスを利用できるケースはほとんどありません。
申込み後に必要な工程
一般的には、
- 申込み
- 貸主審査
- 保証会社審査
- 契約条件の調整
- 契約書案の確認
- 社内法務・決裁確認
- 契約締結
- 内装工事
- 通信工事
- 家具搬入
- 引越し
という流れになります。
30〜100坪規模の場合、
申込みから入居まで1〜2か月程度かかることも珍しくありません。
契約書確認でスケジュールが延びることもある
法人のオフィス移転では、
物件が決まった後に契約条件や契約書の確認が発生します。
例えば、
- 原状回復条項
- 保証金条件
- フリーレント条件
- 契約開始日
- 更新条件
- 解約予告期間
などの確認や調整が必要になることがあります。
また、
社内法務や役員承認が必要な企業では、想定より時間がかかるケースもあります。
そのため、
「良い物件が見つかった=すぐ入居できる」ではありません。
申込み後にも一定の期間が必要になることを前提に、スケジュールを逆算しておくことが大切です。
内装工事で想定外の調整が発生することもある
物件が決まり契約が終わった後でも、移転がスムーズに進むとは限りません。
実際には内装工事の段階で、
- 空調設備と間仕切りが干渉する
- 消防設備の追加設置が必要になる
- 避難経路の見直しを求められる
- 想定外の設備工事費が発生する
といったケースがあります。
例えば会議室や役員室を新設する場合、
空調設備のメンテナンススペースが確保できないことや、誘導灯・非常灯の追加設置を求められることがあります。
その結果、
- レイアウト変更
- 工事期間の延長
- 追加費用の発生
につながることもあります。
そのため、
余裕を持ったスケジュールで進めることが、結果的にコスト削減にもつながります。
代表者の再内見も多い
総務担当者が先に内見し、
その後に代表者が再内見するケースは珍しくありません。
また、
- 稟議申請
- 予算確認
- 役員承認
が必要な企業もあります。
そのため、
「良い物件が見つかってから準備する」のではなく、「良い物件が見つかったらすぐ動ける状態」を作っておくことが大切です。
コストを抑える正しい考え方
安い物件探しではない
コストカットとは、
単純に賃料が安い物件を探すことではありません。
重要なのは、
総コストで考えることです。
判断基準は7〜8割で良い
100点の物件はほとんど存在しません。
実際には、
- エリア
- 広さ
- 予算
- 設備
のうち7〜8割満たしていれば十分成功と言えます。
完璧を探し続けると、
比較している間に物件がなくなることもあります。
将来の増員も考える
現在40名でも、
1〜2年後に50名になる可能性があります。
目先の賃料だけでなく、
将来の増員や組織拡大も考慮して検討することが大切です。
仲介会社選びで差が出る理由
良い仲介会社の特徴
- レスポンスが早い
- 新着物件を共有する
- 条件交渉を行う
- スケジュールを逆算する
- 貸主との調整経験が豊富
よくある失敗
紹介だけで終わる仲介会社の場合、
- 判断が遅れる
- 交渉機会を逃す
- スケジュール管理されない
結果としてコスト増につながることがあります。
FAQ
Q. 本当に早く決めた方が安くなりますか?
A.
「安くなる」というより、
「コストが増えるリスクを避けられる」と考える方が正確です。
東京23区のオフィス市場では、条件の良い物件から順に決まっていく傾向があります。
そのため、
- 希望物件を逃す
- 賃料が高い物件を選ばざるを得なくなる
- 二重家賃が発生する
といったリスクを減らすためにも、早めに動くことが重要です。
結果として、総コストを抑えやすくなります。
Q. 待てば安くなるケースはありますか?
一部例外はあります。
ただし東京23区のオフィス市場全体で見ると、良い条件の物件は先に決まる傾向があります。
Q. どれくらい前から動くべきですか?
一般的には6〜12か月前です。
解約予告が6か月前のケースも多いため、余裕を持った準備がおすすめです。
Q. 社内稟議に時間がかかる場合はどうすれば良いですか?
候補物件を探す前に、決裁者との認識合わせを行うことがおすすめです。
稟議中に募集終了するケースは少なくありません。
Q. 良い物件はどれくらいで決まりますか?
人気物件の場合、募集開始から数日で申込みが入ることもあります。
特にセットアップオフィスは動きが早い傾向があります。
Q. 代表者が内見できない場合でも進められますか?
担当者が先に内見し、写真や動画で共有するケースが一般的です。
その後に代表者が再内見することも多くあります。
Q. セットアップオフィスは本当に安くなりますか?
セットアップオフィスは、すでに会議室や内装が整備されているため、内装工事費を抑えられる可能性があります。
特に近年は建築費や人件費の上昇により内装工事費が高騰しているため、以前よりもセットアップオフィスのメリットは大きくなっています。
ただし人気が高く、募集開始から短期間で決まるケースも少なくありません。
まとめ
- コストカットしたい企業ほど早めに動くべき
- 良い物件は先に決まる
- 待つほど選択肢は減る
- 判断の遅れは二重家賃につながる
- 申込み後も入居まで時間がかかる
- 契約後にも様々な調整が発生する
- スケジュール逆算が成功の鍵
早く決めることが目的ではなく、選択肢が多いタイミングで判断することが重要です。
半年以内に移転予定の企業様へ
- 退去期限に間に合うか不安
- 二重家賃を避けたい
- 社内稟議に時間がかかる
- 良い物件を逃したくない
東京23区で半年以内に退去予定がある場合、実際にどのタイミングで何を進めるべきかは会社ごとに異なります。
「まだ早いかもしれない」と思う段階でも、全体スケジュールを整理しておくことで、後から慌てるリスクを減らせます。
現状をお聞きしたうえで、
- 移転スケジュール
- コスト削減の可能性
- 二重家賃回避の方法
- 社内稟議を見据えた進め方
などを整理しながらご提案しています。

